大阪府にお住まいの14歳の女の子へ。
初めまして、あんなと申します。
幡野広志さんに送られたあなたの相談を読みました。
きっとあなたは私が誰かも知らないし、いきなりなんなんだ?と思われるかもしれませんが、元14歳の女の子だった者として、私なりに答えさせてみてください。
もし何かのヒントになれば嬉しいです。
まず最初にあなたの相談を読んで、あなたが本当に素晴らしい友達であることが伝わってきました。あなたのお友達の状況を多角的に見て、共感し、けれども心配し。あなたのお友達は、あなたという友人に恵まれていて安心しました。
お友達の状況、とても不安になりますね。
問題がいくつかあったので整理してみます。
①友人と恋人の年齢差(14歳と19歳)
②避妊をしない性行為
③恋人の問題行動(飲酒や喫煙など)
④友人の家庭環
⑤友人への伝え方
一つ一つ、考えてみましょう。
①歳の差
現在お友達は14歳。未成年者です。
それに対して恋人は19歳。
2022年、成人年齢が18歳に引き下げられますが、実は現時点で児童福祉法では18歳未満を"児童"としており、性にまつわる法律はその多くが18歳を基準としています。
なので、現時点で14歳と19歳の二人が性的な関係を持つことは、法的にも問題になってくる可能性があります。もし彼女が12歳11ヶ月30日の時点でその恋人と性的な関係になっていた場合、二人の関係性がなんであれ、その恋人は強制性交等罪に当たる行為をしていることになります。それくらい、その二人が性的な関係を持つことは、危険なことなのです。
この13歳という年齢は「性的同意」と言います。これは、法律が「この年齢になったら、セックスがなんなのかをちゃんと理解して、自分の身に起こることに対して同意できる年齢だね。」と認めている年齢です。しかし、これは世界的に見てもとても低い年齢なのです。欧米圏の多くは16歳を設定しています。なので、もしお友達が今の関係を外国でしていたら、その恋人はすぐに捕まる、ということになります。
法的に考えるのは一つの方法ですが、この「性的同意年齢」、私自身に置き換えて考えてみました。
私が14歳の頃、私は毎日部活に明け暮れていました。
恋人がいたことはなかったし、欲しいとも思っていませんでした。
「セックス」がすなわち何なのか、頭では理解していましたが、心のそこから理解していなかったと今振り返ると断言できます。
しっかりと「同意」ができない状態でセックスすることの危険性は、後々後悔がやってくることです。相手に嫌われたくなくて、子どもだと思われたくなくて応じる。一見「同意」があるように見えますが、だんだんとあの時本当に「したい」と思ってなかったと気付く時がきてしまいます。そしてこの気付きは、癒えるのに時間がかかってしまうのです。
後々に出てくる彼女の家庭環境等を考えると、私は彼女が本当に同意しているとは思えないのです。それによっていつか彼女が辛い思いをしないか、心配です。
更に、19歳の時点で14歳の子どもとセックスをする人はまともな人ではありません。
本当に彼女を愛しているなら、彼女が成人するまでセックスを待つことだってできます。
しかしそればかりか、次に出てくるように避妊をするという最低限のマナーすら守ることができていない。
この事実だけで、その恋人は良い人間ではないことがわかります。
14歳からしたら、19歳は大人に見えるでしょう。
その憧れを利用して、恋仲になるのは難しいことではありません。
未成年者と性的関係を持つために行う行動のことを「グルーミング」と言います。
その例は:
①まず家庭環境に問題がある人をターゲットとする。
②ターゲットと二人きりになる空間を作る(他者の排除)。
③ターゲットの信頼を得るために行動する。
④二人の関係性をコントロールする(関係を隠そうとする傾向アリ)。
などが挙げられます。
14歳。きっと自分は様々な決断が一人でできると思う年齢だと思います。私もそうでした。
けれども、性的同意はまだまだできず、グルーミングに気付くこともできないと私は思います。
なので、14歳と19歳という歳の差の恋愛(特に性的関係がある場合)は、大いに問題です。
②避妊をしない
年齢関係なく、女性と性的関係を持つ際に避妊をしない男性は、ただの最低男です。
セックスをするということは、妊娠をする可能性が常にあるということです。
そして妊娠した場合、その負担は全て女性が負います。
その可能性を少しでも低くするために男性は避妊するのが最低限のマナーです。
14歳では出産がまだまだ危険な年齢です。
仮に今妊娠してしまったとして、お友達は出産で命を落とすかもしれません。
流産の可能性もあるし、生まれてきてくれたとしても早産の確率も高くなります。
中絶するとなっても、結局その身体的・精神的な負担を負うのは女性です。
さらに、コンドームをつけることは性病感染から身を守ることでもあります。
性病は女性の方が見つけにくく、最悪不妊になってしまうこともあります。
たとえ愛が無くても、コンドームをつけるのは人として最低限のマナーです。
それすらできないのであれば、相手を大切にできていないという証拠です。
あなたのお友達は、その彼に大切にされていないのです。
お友達も、あなたに「相手が避妊してくれない」と漏らしたということは、きっとこの件を気にしているのではないでしょうか。
「コンドームしてって言って嫌われたらどうしよう」
「頼んだら無しで無理やりされたらどうしよう」
「今更言えない…」
色々と考えてしまって、言い出すのが難しいのもよくわかります。
けれども、厳しく聞こえてしまいますが、「避妊して」と言って怒るような男性は、相手のことを愛していません。
更に、先ほどの同意の話に戻りますと、「コンドームをしてくれないとセックスしたくない」と思っているお友達に対して「コンドームをせずにセックスする」という行為は、彼女の同意が無い性行為になってしまいます。同意のない性行為は彼女の心に大きな傷を作ることになってしまいます。
様々な不安をぬぐい、しっかりと避妊して欲しいと相手に伝えて欲しいです。
それができない間柄の二人は、そもそも性的関係を持つべきではありません。
③恋人の問題行動
未成年飲酒や喫煙、しかもそれを隠す気もなくしている。心配になりますよね。
お友達も、彼のそのような行動を問題だと思われているのでしょうか?
私が心配なのは、お友達もこのような行動を無理やり一緒にさせられていないか、という点です。お友達はお酒を恋人に勧められたりしていませんか?
彼が自分自身で飲酒や喫煙をするのは本人の勝手だと私は思います。
警察に見つかったら捕まればいい。
けれど、もしそれをお友達にも強要しているのだとなれば話は別です。
そうでないことを祈っています。
④家庭環境
お友達の家庭環境、これが全ての元凶ですね。
お父様への言及がなかったので、母子家庭なのでしょうか。
お友達のお母さんがやっていることは、虐待・ネグレクトです。
叩くことが虐待だということはあなたもわかると思いますが、家事や兄弟の世話をお友達に押し付けたり、家を不在にしたりなどの行為はネグレクトに当たります。
これはお友達の心に大きな傷を作ってしまっていますし、場合によっては法律に反する行為でもあります。
あなたも言うように、家庭で十分な愛を感じていないと、彼女のように恋人にそれを求めようとするのは理解できますよね。
愛して欲しい、私を見て欲しい、優しくして欲しい。
これらの欲求は人間として当たり前の欲求です。
そして、それは14歳という年齢では本来家庭で満たされるはずのもの。
けれども彼女にはそのような環境がない。(そしてそれは決して彼女のせいではない。)
彼女が恋人に縋る気持ちは、私も痛いほどわかります。
私も以前、家族の死を受け入れられないまま、当時私を好きだと言ってくれた人と恋人関係になった経験があります。
けれどもそれもその場限りの短期的な安らぎでしかなく、一人になるとまた孤独が襲ってくる。それが嫌で恋人と過ごす時間がどんどん増えていく。一人の時の孤独が余計顕著になる。そのうち二人でいても孤独を感じるようになる。悪いサイクルです。
結局今振り返ってわかるのは、私は彼を愛していなかった、ということです。
短期的に痛みを忘れるために、私は彼を利用していたのです。
当時もそれに薄々気づいていたのかもしれませんが、あまりにも痛みが耐えられず、まやかしでもいいから一瞬でも痛みから逃げたかったのです。
そのような関係性、実は全く痛みを癒さないのです。私も驚きました。
恋人といる時間を増やしても増やしても、心の奥底に眠る孤独や虚無感はぬぐい切れません。結局それにも絶望することになります。
家庭環境からのトラウマ。お友達の話を聞いていると、きっとこれまでも相当大変だったと思います。
けれどもこればっかりは、自分で向き合って解決していかなければなりません。
日本ではまだまだメンタルヘルスの重要性の理解が広まっていませんが、お友達は恋人に頼るのではなく、カウンセリングに通うことが一番の近道だと思います。
私も今カウンセリングに通っていて、自分が考えていることをプロの先生に聞いてもらっています。特に悩みがなくても、自分の思考の整理ができて、とても有益な時間です。
学校にスクールカウンセラーはいますか?もしいるなら、是非彼女に勧めてみてください。「彼との交際が学校にばれたらどうしよう!」と思う必要はありません。カウンセラーは守秘義務があります。きっと、お友達の力になってくれると思います。
もしカウンセラーがいないのであれば、以下の無料ツールを見てみてください:
→大阪府:電話相談口
→こころのほっとチャット
親族は選ぶことはできません。けれども、英語圏では"chosen family"という言葉が最近流行っています。これは「自分で選んだ家族」という意味です。この言葉の中には恋人や友人が入ります。
家族関係は血縁がなくても、恋愛関係でなくても作っていけるのです。
今こうして彼女はあなたというとても素晴らしい友達がいる。あなたの存在が既に、彼女のこれからのメンタルヘルスを改善していく上で、とっても重要な支えになっていくことでしょう。
⑤伝え方
さて、これまで一つずつ問題点を洗ってきましたが(問題なのはわかってるよ!とイラつかせてしまったかもしれませんね💦)、難点はこれらをどのようにお友達に伝えるか、ですね。
現時点で、彼女とオープンにコミュニケーションが取れている点(避妊してくれないと相談してくれるなど)、素晴らしいですね。これまであなたが友人として真摯な関係を作ってきたことの証だと思います。
ここで忘れてはならないのは、あなたも未成年だということ。
何か変に動いて、あなた自身が危険な目にあってしまっては大変です。
大切なのは、周りの大人に頼ることです。
上記のように、お友達は今家庭内でネグレクトに遭っている可能性があり、恋人からは「同意していない性行為」の被害を受けています。
ご親族に相談できる環境にありますか?もしできるならご家族にも相談してください。
学校の先生にも相談しましょう。仮に同じ学校に通っていなくても、あなたが通う学校の先生に状況を説明してみてほしいです。
もしこの二つができない状況なのであれば(相談しても動いてくれないのであれば)地域の児童相談所に向かうのも一つの手です。「児相」と聞くと身構えてしまいますが、児相には「相談機能」があります。必ずしも児相が動くのではなく、必要に応じてそれぞれの機関やNPOなどを紹介してくれることもあります。
もし児相に相談するのが気が引けるようであれば、直接NPO法人に頼ってみましょう。
大阪だと、子どもセンターぬっくさんがお友達のような子に寄り添う活動をしてらっしゃいます。
まず、あなたが大人に頼ってください。
まるでお友達のことを「ちくった」ように感じるかもしれませんが、全くそんなことはありません。
あなたが不安に感じていることは全てその通りで、あなたのお友達は今安全な状況にはありません。重要なのは、一刻も早く現状を改善することです。
「恋人と別れた方が良い」と言われることは、何歳でも辛いことです。14歳だと更にそれを受け入れられないかもしれない。
今のお友達の視界の中では彼が素敵に映るかもしれませんが、実はもっともっと素晴らしい人は星の数ほどいます。今の彼は最低限レベルを切ってしまっています。彼よりももっと上手く人を愛せる人はたくさんいるのです。
そして彼女が今、14歳の彼女の視野の中でしか判断ができないからこそ、もう少しだけ人生の経験を積んでいる大人のみなさんに助けてもらう必要があるのです。これは決して「ちくる」ようなことではありません。
時既に遅しとなる前に、あなたのお友達が安全な環境に身を置けることを心から祈っています。もし私に何かできることがあったら、いつでもご連絡くださいね。
あんな
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